レアメタル 2009 7 5

書名 レアメタル超入門
著者 中村 繁夫  幻冬舎新書

 現代においては、製品が高度化すればするほど、
レアメタルへの依存度は高くなります。
 たとえば、「ブラジルには、ニオブが偏在している。
自動車のデザインが流線型になったのは、このニオブのお陰である。
日本の自動車産業に欠くことのできないニオブ資源の97%が、
ブラジルに集中している」とあります。
 この本のおもしろいところは、
日本人の特性について書いてあることです。
「日本経済は危機管理に弱いが、
国家規模で危機を共有したときには『火事場の馬鹿力』を発揮する。
 日本人は危機を乗り切るとき強くなるが、
全体が危機を共有するまで時間がかかる」
 さて、日本には、世界最大の金鉱(都市鉱山)があります。
もちろん、地下資源の金鉱も有望なものがあります。
(下記の「Zipangu」を参照。地下資源については「In」を参照)
 ただし、残念なことは、政府に資源戦略の哲学がないことです。
ましてやレアメタルとなると、「わからない」という政治家が多いでしょう。
 これも、日々、政局に明け暮れているからです。
「政策よりも政局が好き」という政治家が多くて困ります。
今の時代、こういう政治家は、古いタイプの政治家になったのです。

ジパング Zipangu 2008 2 11
 本日は、日本の建国記念日ですので、
日本に関して、興味深い話題を書きましょう。
 マルコ・ポーロは、『東方見聞録』で、日本のことを、
「黄金の国・ジパング」と書きました。
 確かに、現代でも、日本は、黄金の国でしょう。
『貴金属の科学』(日刊工業新聞社)という本には、こう書いてあります。
(以下、引用)
黄金の国、再び 期待大きい菱刈金鉱床
 1981年2月、熊本県と鹿児島県の県境にある菱刈で、
予想もしない金の大鉱床が発見されました。
 この発見は、日本の詳細な地球科学の研究によって探査されたもので、
まさに技術立国・日本の面目躍如たるものでもあったのです。
 その金鉱床は、埋蔵鉱に含まれる金の量が、とてつもなく多く、
かつ、その鉱石品位も他に類を見ないほど高いものでした。
 (世界最大の産金国である)南アフリカの金鉱山は、
1トンに金約5.2グラム程度とされていましたが、
菱刈のものは、1トンに約80グラムと、途方もないものだったのです。
 九州では、菱刈のほかに、大分県の「鯛生(たいお)」もまた、
期待される金山です。
(引用、以上)
 日本は、昔から、全国各地に金鉱の話が伝わっています。
また、同様に砂金も、かつては全国各地の河川から採れたと言われています。
 どうして、日本は、これほど金が採れるのか。
その理由は、以下の本を読めば、楽しく、わかるでしょう。
「たのしい鉱物と宝石の博学事典」(堀 秀道 編著  日本実業出版社)
(以下、引用)
恐山の下には金が
 黄金の国、ジパング。
なぜ、日本では金が採れるのだろうか。
 ヒントは、日本が火山列島であることに隠されていそうだ。
火山活動と金とは、密接な関係があるらしい。
 その例としては、青森県の恐山。
熱水とガスが絶え間なく吹き出す休火山である。
その下のほうには、金があるらしい。
しかも、十分金山として稼動できるほど大量に。
日本の金の産状は、火山活動による熱水鉱床。
 最大の産出国は、南アフリカ共和国。
ロシア、カナダ、アメリカが、それに続く。
 砂金は、アラスカ、オーストラリア。
 日本では、山金と砂金の両方が産出する。
(引用、以上)

In 2006 1 26
 「元素」(富永裕久著)という本から、話題を取り上げましょう。
日本は、資源小国か。
いや、違うと思います。
 元素記号In(インジウム)という元素があります。
この金属は、液晶パネルに不可欠な元素です。
 インジウムの酸化物は、電気を通し、加工しやすいだけでなく、
何と、透明性が高いのです。
そういうわけで、液晶パネルの「透明導電膜」には、
インジウムの酸化物が使われているのです。
 ところで、世界最大のインジウム鉱床は、どこにあるか。
それは、意外なことに、日本の札幌にあります。
札幌郊外にある豊羽鉱山が、世界最大のインジウム鉱床です。
 しかし、その豊羽鉱山も、閉山の予定と書いてあります。
なぜかというと、日本では、人件費が高いので、
外国から、インジウムを輸入した方が、割安となるからです。
(「元素」184ページを参照)















































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